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YOU BEAST! 二話  秘密基地の秘密  1

2007年11月03日 15:44

 カノープスに電源が入った。
 ブーン、と音がして、いろいろなシステムが立ちあがっていく。
 私は、カノープスの胸からコックピットに体を滑り込ませた。あるスイッチを押すと、コックピットのハッチが閉まっていく。徐々に、視界が閉ざされ真っ暗になっていく。
 次の瞬間、真っ暗だったスクリーンが明るくなり、起動画面になった。
 ゴーグルと、ヘルメットと、シートベルトを装着しているうちに、起動完了、目の前に広がるスクリーンはガレージの風景になった。
 ゴーグルを通して表示される情報をチェックしてみた。高度や速度、方角、熱量、機体の状態など、細かい情報が表示されている。
 その中でも、気になるのが、前回はなかった武器が追加されている点。
 右手で握っている操縦桿のトリガーを確認した。これで本当に攻撃できるの?
 機体を動かす前から、手に汗握っていた。
『なんだ、カノープスも出るのか?』
 無線から、別のビーストに搭乗している彰の声が聞こえてきた。
「私も行くんだ」
『アカリ??』
『発進準備!』
 無線からは雨谷工業の社長の声が聞こえてくる。
 ガレージの天井が開いた。上空を見上げると、もうすっかり夜になっていて、空は真っ暗だった。
『アルビレオ、発進せよ。目標は海岸線だ』
 会社のナビゲーターの声だ。
 雨谷工業所有のビーストはどうやらアルビレオと言うらしい。見た目は、カノープスよりも細身な感じで、動きも速そうだ。まあ、カノープスよりも性能が良いから、彰は真っ先にアルビレオに搭乗したんだろうけれども。
『了解』
 彰の声と同時に、少し離れた場所にあったビースト、アルビレオのブースターに火がついた。ガレージの中に砂煙を巻き起こして、ビーストはジャンプして、海岸を目指して跳んでいった。
『よし、カノープス、ジャンプするんだぞ』
 ナオキの声が聞こえてくる。
『市街地は電線に注意してください。いったん着地するなら、途中にある川がいいです』
 宗一の声も聞こえてきた。
「分かった。いったん川に着地すればいいんだね」
 長時間のジャンプにはエネルギー的にも、ブースターの熱量的にも、不可能なのは、前に乗って分かっている。
「カノープス、発進しますっ」
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YOU BEAST! 二話  秘密基地の秘密  2

2007年11月03日 15:46

 私は、ボーっとしながら、自動更新する液晶の画面を見つめていた。
 自動更新するシステム(*1)が既にパソコンには入っていて、株価や気配値(*2)が変わるたんびに、フラッシュして数字が入れ替わるんだ。
 今日は昨日の爆下げ(*3)後、調整に入るかと思いきや、まだ下げたりない様子で、売りが続いている。
 なんで爆下げしたかっていうと、日本各地で正体不明のコアビーストが暴れてるせいなんだよね。
 私の家も、現にそいつらのせいで壊されたし、街もメチャクチャにされてしまったんだ。
 おとといは、無茶を承知で、この秘密基地にあるコアビーストを動かしてしまったけれど、私達は、正体不明のそいつと会話したんだった。とは言っても、二言ぐらいだったかな。
 そうそう、部外者か、って言われたんだった。でも、何の事なのかさっぱりわからない。
 だいたい、私達は一般人へなちょこビーストなわけで。
 ってなこと言ったら、彰が怒るんだろうな。気合入れて作ってたからな、ビースト。
 なんて考えていたら、ふと、当たり前の疑問が浮かんできたのだった。
 だいたい、この秘密基地にあるビースト、あれはどうやって作ったの?それに、コアビーストは、コアがないと動かすことができない。コアはレアなもので、とても一般人に手に入るものではない。
 ってことは、彰達は一般人じゃないのかな?
 なんせ、この秘密基地に来たばかりの私には、まだまだわからないことが多かった。
 コアビーストをメンテナンスするだけだって、相当な費用が必要なんじゃないの?
 気になる事は多かったけれど、誰もそこのところには触れようとしないので、なんだか彰には聞き出しづらいところがあった。
 私は何とはなしに、コア関連の会社を検索してみた。
 何社か出てくる、が、まだまだメジャーではないようだ。他の業種みたいに、はっきりとしたことがわかりにくい。ニュースでも、コアビーストがどうした、っていうニュースはやってるが、コア関連の会社がどうした、とは出てこない。どうせ、誰かが情報操作でもやってるに違いないけれども、そう思うとますます怪しい。
 おととい現れたコアビースト達だって、傭兵がいたということは、どこかの企業に雇われたということになるし。このコア関連の企業には、まだまだ知らない何かが、ありそうだ。
 コア関連会社をいろいろ見ていると、偶然、雨谷(あめや)工業という名前が目に付いた。だって、他の会社はほとんどが横文字。コア・エレメントとか、コア・マテリアルとかPEとか、なんかアルファベットとかカタカナばかりだ。そんな中に、いきなり、雨谷工業、なんて書いてあったら、誰でもクリックしてみたくなるだろう。
 で、クリックしてみた。チャート(*4)を見てみると。横並び。日経平均(*5)には左右されてはいるものの、大きな動きのない会社らしい。資本金、まあまあ。従業員、少なめかな、PER(*6)、同業種と比べると、やや低め。
 社長、雨谷 重。
 日系企業ではめずらしく、独自にコア部門に参入した、新手の企業。もともと、工業系機械を生産していた、とある。
 ふーん。でも、だよ、これといって買いに入る理由は見当たらないんだよね。
「おい、アカリ。お前、暇?」
「あ、何?」
 偶然、通りかかった彰が廊下からひょっこり顔を覗かせた。
 その、視線、私を通り越して、後ろの液晶にくぎ付けになっていた。
「どしたの?」
「あ、あ~、何だっけ」
 彰はちょっと慌てた様子で、茶髪の頭をかきながら天井を見上げた。
「あーそうそう」
 彼は再び私に向き直った。
「ビーストに関するニュースなんか出てる?」
「ま、出てるっちゃ出てるけど、全部既知のニュースばっかだよ」
「基地???」
「既知だっつーの」
「ふん、お前がそーゆー単語使うとはな、思ってなかったんだっ。で、どうなの」
 失礼な。
「だからさ、おととい、日本各地をビーストが襲いましたってニュースばっかり。やっぱり、他の地域でも、何者かと、傭兵が争っていたみたいだよ。その後、どうなったとか、詳しいことは全く載ってないよ」
「そっか」
 彰は私の隣の椅子に腰掛けた。
「どうしたの?」
「お前が何やってんのかなって思ってさ」
「何って。取引以外にすることはあるわけ?」
「それもそうだな」
「今月はもっと稼がないと、食いっぱぐれるんだからねっ」
 私は、企業の情報を消して、日経平均のグラフを表示させた。
「気にすんな。ここにいる間は何か食える」
 彰は表情一つ変えずに、液晶に視線をやったまま言った。
 ・・・。
「もうすぐ、前場(*7)引けるな」
「何さ、興味あるの?」
 株なんて興味ありません、ってタイプに見えたんだけど、以外とそうでもないのかな。
「ない。というか、俺にはわからん」
 あーそう。

YOU BEAST! 二話  秘密基地の秘密  3

2007年11月03日 15:47

「彰、ナオキ、宗一!!ご飯だよーーーー!!!」
 いつも食事に集まる部屋、要するに食堂で、美衣子が大声で叫んだ。
 美衣子は、彰と同級生で、ビーストのメンテナンスを手伝ったり、にもかかわらず、ご飯を作るのがとても上手だったりと、とても気の効く良い子だった。彼女は秘密基地には泊まらずに、近くのマンションで暮らしているらしい。
 私はというと、ご飯作る特技も何にもないし、美衣子がテキパキと何でもやってしまうので、これといってすることがなく、せめて食器を運ぶぐらいだった。
 汚れた作業服の男達がどやどやとやってくる。
「いつも助かる」
 無口なナオキが、美衣子に言った。彼女には一目置いているようだ。
 私は、美衣子の作ったおいしいスパゲッティを食べながら、思った。
 美衣子と彰は絶対に怪しいな。
 でも、そんな雰囲気は絶対に見せない。実際は、どうなんだろう??
 よく分からないけれど、私の入りこむ余地はないみたい。ってさ、入りこむつもりなんかないんだけれども。
「どうしたの、アカリ、黙りこくってさ」
 美衣子が隣から私のことを小突いてくる。
 え。ちょっとびっくりして美衣子を見る。彼女は、何でも出きるくせに、綺麗だった。うらやましい。私なんて、その真逆だし、二人でこうやって並んでると、その差が更に浮き彫りになって見えそう。
「な、なんでもないよ」
「そう?口に合わなかったかな?」
「そんなことない、とってもおいしいよ」
「それならいいんだけど。そうそ、今度、新しくできたお店があるから、食べに行かない?」
「う、うん」
 美衣子は綺麗だし、器量もいいし、みんなにモテそう。それに比べると、私なんか、そんな経験一度もないんだから。
 
 ちょっと出かけてくる、と、私は秘密基地を飛び出した。
 午後からの取引?いいや、そんなもんは。
 かなり歩いた。
 そこは、ビーストに壊された後の、私の家。
 手付かずのまま、バラバラになった私の家。小さな家だったけれど、それでも、一応、毎日寝たり起きたり、毎日食事をした家だったんだ。
 私の家だけじゃなく、辺り一帯はバラバラのまま。車も通ることができない状態。
 不幸中の幸いなのは、火事にならなかったことだろうか。燃えてしまったら、本当に何も残らない。
 私は、瓦礫を避けながら、また瓦礫の上を通りながら、なんとか入りこんで、瓦礫を押しのけてみる。
 私の部屋だった一部が少しだけ顔を覗かせた。だけど、これ以上どうすることもできない。重機でもあれば壁や柱をどかすことができるかもしれないけれど、私の力では、これに立ち向かうのには限界がある。
 少しだけ部屋の中が見えるけど、そこには本が瓦礫と一緒に散らかっている。
 好きだった漫画も小説も、集めていたガラクタも、洋服も、ゲームも、全部この中に埋まってしまっている。
「はあ・・・」
 どうすることもできなくて、瓦礫の上に腰を下ろした。秘密基地から結構遠かったし、その割には結局何もできないし、余計に疲れた気分。
 どうせ、秘密基地に戻っても、美衣子達はテキパキ働いているし、基地についてよくわかっていない私は、なんだか浮いてる感じだし、悲しい。
 これからどうしようかな。
 やっぱり、いつまでも秘密基地に居座るわけにはいかないしな。
 あーあ。もし私が、魔法でも使えて、全部元通りにする事が出きれば、悩む事なんかないのにな。
 ガラガラガラ。突然、瓦礫の崩れる音が近くで聞こえた。
 驚いてそっちを見ると、長身の人がそこに立っている。
 何?見上げると、逆光で顔がよく見えない。太陽の光がすごく眩しい。
 瓦礫の中から何か捕ろうとしている風でもなく、何か話し掛けて来るでもなく、そいつはそこにたたずんでいる。
「誰?何?何か用?」
 私が目を凝らして、身構えると、そいつは、そこにしゃがんだ。太陽の光が邪魔しなくなって、ようやく、そいつが秘密基地にいたナオキだ、ということに気がついた。
「なんだ・・・、ナオキかぁ。びっくりした・・・」
「ごめん。後をつけてしまって」
 そうか、ずっとつけられていたなんて、私、全然気がつかなかった。
「でも、何で?」
 その問いに、ナオキはすぐには答えずに、しばらく間を置いてから言った。
「落ち込んでいるか?」
「え?」
 まるっきり予想していなかったナオキの問いに、どう答えるか、思考が一瞬停止してしまった。
「べ、別に!」
 とっさに出た言葉が、それだった。後で考えたら、心配して来てくれたナオキに、なんて冷たいこと言ったんだろう、と思った。
「それならいいんだけれど」
 ナオキは、私の近くの瓦礫にすわって、缶ジュースを差し出した。
 ちゃんと自分の分も持っている。私の後を尾行しながらこんな気の効いたものまで買ってくるなんて。私がトロすぎるのかな?
「ありがと」
 私は缶コーヒーを受け取って、その場でがぶがぶっと半分ぐらい飲んだ。
「良い考えがあるんだけどな」
 ナオキが言った。
「?」
「夜、こっそりビーストを使うんだ。アカリ、一度操縦したからここまで来るのは簡単だろう?」
 ビーストを使うって?え?
 訳が分からない私に、ナオキはさらに言う。
「俺が、トラックでこの近で待っててやる。夜の間に無事だった荷物を運び出せるだろう?」
 成る程!重機の変わりにビーストを使うんだ!
 って、本来コア・ロボットって、戦闘用よりも、クリーンなエネルギーを使う工業用ロボット、で売り出してたはずなんだけどね。
 ナオキに力を借りて、荷物を運び出そう!
 やったあ!なんか、すごくうれしい。

YOU BEAST! 二話  秘密基地の秘密  4

2007年11月03日 15:48

 その日の夜。倉庫を覗いてみた。
 あれ、いつもあるところに、コア・ビースト、カノープスがないじゃないか。どうしたんだろう。
 彰に思いきって聞いてみると。
「あ。カノープスな、バックパックの整備の為に、ある場所に移動させたんだ」
「ある場所?」
 えええ!今夜早速ナオキとの作戦を実行しようと思ってたのに!
「ま。お前も、カノープス動かしたし、このチームの一員だからいいか」
 彰は腕組みして、ガレージの隅にある、小さな椅子に腰掛けた。別の作業をしていたらしく、作業着を着ていた。
 チームの一員?チームって?
 私も、彰の近くにあった椅子に座った。
「カノープス。俺達だけの力で作れると思う?」
「ううん。思わない。だって、維持費だけだってすごくかかるんじゃないの?それにそれに、エネルギーコア、あれって普通じゃ手に入らないっていうのが通説だよ。それをどうやって手に入れたの?」
 彰は、私が一気にまくし立てたので少々驚いていたが、疑問に思っているのはそれだけではない。
「だいたい、ここの秘密基地のメンバーは、どうやって食べてるの?」
 この秘密基地に来て二日、彼らはいつもビーストのメンテナンスや、新しいパーツの実験ばかりしているのだ。
「なんだ。お前、馬鹿じゃなかったんだな」
 失礼な!広く浅くなんでも情報を知ってるのが投資家の強みなのだ。まあ、そんなことどうでもいいって人も世の中にはいるけどね。
「一応、その日に出たニュースは把握してる。それに、いろんな業界のニュースも、浅くだけど頭に入ってる。特に、今、世の中を騒がせてるのがコア業界でしょ。今日、彰が来た時に調べてたのも、コア業界だよ」
「そうか。悪かったよ。馬鹿みたいに言ってさ」
 え、いいよ、謝らなくってもさ。別に頭良いわけでもなんでもないんだし・・・。
「それで、アカリがさ、今日調べてた会社、雨谷工業ってあっただろ?」
 ああ、たまたま見つけた会社か。
「それが、どうかしたの?」
「会社の所在地を確認したりはしなかったか」
「あー、そこまでは見てない」
「いや、いいんだ、この近くにあるんだ」
 なんと、この近くの会社だったのか。あ。まさか、カノープスはそこで・・・。
「俺、雨谷 彰って、言うんだ」
「え!」
 ということはまさか!
「社長?」
 彰は一瞬目を丸くして固まっていた。
「ちげーよ。社長は、オヤジなんだ」
 そ、そうか、そうだった。社長の名前、出てたもんね。
「会社の、プロジェクトがあるんだ。それで、ビーストをここで飼ってる。今のところはこれぐらいしかまだ明かせない」
「じゃ、みんな雨谷工業の社員?」
「表向きはそうなってるかな?」
「ふーん」
 そうだったんだ。それで、みんな一生懸命にビーストのメンテナンスをしてるんだ。
 私が、紛れこむ所じゃないかもしれない、ここは。でも、ビーストの事とかはすごく気になるんだけれども。この先ビーストをどうしていくのか、とかも。
 私は、ただの居候だしな。メカについて詳しいわけでもないし。この前、カノープスを動かしてみたけど、あれじゃ、本当の戦闘になったらイチコロだと思うし。
 なんだか、私だけ浮いてるのはちょっと寂しいな。やっぱり、財政難ではあるけれども、早々にここを出ていくべきかな。ここはパソコンやら設備が整ってて、最高の環境なだけに、惜しい気もするけれど。
「何だよ、黙りこくってさ」
「え」
 私は、指をいじくりまわしてうつむいていた目線を、彰に戻した。
「何でもないよ。あのさ、やっぱり私、ここにいると迷惑かけるから・・・」
「お前、オヤジに紹介してやろうと思ってさ。今なら会社、まだやってるから、ちょっと来いよ。他の連中も一緒にさ」
 彰は、私の言う事を最後まで聞かなかった。

YOU BEAST! 二話  秘密基地の秘密  5

2007年11月03日 15:49

 結局、秘密基地のメンバーと社長と一緒に、会社のある一室で夜ご飯を食べる事になった。
 彰とナオキ、宗一、そして社長。会社内では、社長はなんと重(しげ)さん、と呼ばれていた。美衣子は用事があって自宅に帰った為、いなかった。
 出前を待っている間、お茶を飲みながら、他愛のない話ばかりしていた。
「アカリさんは、何かやっておるのかね?」
 肝心のビーストの事は一言も出てこない。どんな話するか気になってたのにな。しかも、話は私に飛び火した。
「えーと・・・」
 普通に答えるならば、個人投資家です。がいいかな。でも、それを快く思ってない人も中にはいるし。そうは答えづらいところがあった。でも、この際、どう思われてもいいや。
「個人投資家です」
 重さんは普通の作業着と、帽子をかぶっていて、他の社員達と同じ格好をしていた。さすが、社長なだけあって、彰とは違って落ち着いているみたいだった。
「ほう。それならウチが上場(*8)しているのも知っているかね?」
「あ、はい、今日検索してたらたまたま見つけました」
「ほう。どれぐらいの資金を動かしているのかな?」
「そ、それはですね。言えませんが」
「ならばどれぐらいの株を保有してる?」
 重さんは興味があるのかないのか、意外な反応を見せた。
「そうですね、十社から二十社に分割して。でも、会社によって必要な金額はいろいろありますからね。それと投信(*9)や外貨にも分けてますよ」
「ふむ。すると、かなりの額にはなるな。遊びでやる程度ではない」
「まあ、先物(*10)とか信用(*11)には手を出しませんから、元手は多く必要になっちゃいますけど」
「ほう。今時めずらしいな」
 私はあくまでも、安心安全運用がモットーなのだ。ただ、信用も先物も、一つの投資手段だということは否定しない。
 だから、年内の収支ではマイナスになることは私の中ではありえない。まあ、損切り(*12)することはもちろんあるけれども、利益のほうが多いんだ。
 なんて、株の話をしていたら、ちょうど、出前が届いた。にぎりだ!イクラだ!口の中に、いっぱいよだれが広がった。
 そんなときに、会社の緊急ベルが鳴り響いた。社長と彰がさっと立ちあがった。何だ?何があったんだろう?
 一同は部屋を後にする。私も、一緒にその後をついて行く事にする。

「正体不明のビーストが海岸沿いに一機。このままだと、ここが射程内に入ります。排除しますか?」
「よし!」
 ナビゲーターは、状況を手早く社長に伝えた。社長は、彰に目配せをすると、彰は格納庫に走っていった。
 私も、格納庫を覗いてみる。
 そこにはなんと、カノープスと、もう一機のビーストが!
 彰は、会社所有のもう一機のビーストに乗りこんだ。
 スタッフ達が、大急ぎで武器を彰の乗りこんだビーストに装備させる。
「ね、ね、カノープスは使えるの?」
 私は、急いでナオキ達がいるところに戻ってきて、聞いた。
 ナオキと宗一は顔を見合わせている。社長は、ナビゲーターのパソコンのところで、正体不明機を観察していて、私の話なんか聞いてない。
 ナオキはちょっとにんまりして、言った。
「もう使える。バックアップは俺達がする。ただし」
 ナオキは私の腕を掴んで、子供に言うみたいに言った。
「彰の前にはでたらだめだぞ。ちゃんと言う事を聞くんだぞ」
「わ、わかってる」
 彼は、うなずいて、私の手を離した。
 そして私は再びカノープスに乗ることになったのだった。


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